外出を控えることは感染拡大防止の必要条件である。しかし、それは経済活動が停滞するだけでなく、他の問題も引き起こす。政府の緊急経済対策にはこのような経済活動を縮小する時の副作用に対する対策が十分でないように思われる。
いちばんわかりやすいのは外出禁止令が出された世界中の都市で報道されているDV(Domestic Violence)の増加である。学校も休校になっていることから、子供たちも家にいることがおおくなり、最近日本で大きな問題になっている児童虐待がさらに深刻になる可能性もある。暴力・虐待に至らなくても、精神的な健康が害される例も増えてくるだろう。
政府の緊急経済対策では、このような副作用への対策が十分ではないように思える。「生活に困っている世帯や個人への支援」の中に「配偶者暴力の深刻化に対応するための相談体制の拡充」や「自殺リスクの高まりに対応するためのSNS相談事業等の拡充」というのがあり、「学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備」の中では、子供の心のケアも謳ってはいるが、具体性に乏しい。
具体的な政策、たとえば暴力・虐待の被害者のためのシェルターを新たに準備するとかいったものがあるなら、それを明らかにして、広く知らしめる必要があるだろう。もし、まだ具体策がないなら、早急に用意すべきだろう。