新型コロナ感染症が日本でも急増している中、これ以上の感染拡大を防ぎ、そして収束後のV字回復を図るために、あらゆる経済政策を動員する必要があるが、それでもやっても意味のない政策は控えるべきである。そして、やってはいけない政策というものもある。
やってはいけない政策の典型的なものが、農水省が発表した和牛への販売奨励金である。このブログでも繰り返しているように、感染症の拡大を防止するために経済活動が縮小するのは望ましいことなので、政策も経済活動を縮小しやすくする方向に働きかけるべきである。いまこの段階で、和牛でもなんでも需要を喚起しようというのは、感染症の拡大防止に逆効果であり、長期的には経済活動にもかえって悪い影響を与えてします。
やってはいけないというわけではないが、無駄だと思われる政策も多い。最近のものは、厚生労働者が若者向けに作ったという妖怪アマビエを使った外出自粛を呼びかける広告だ。これをみて外出を自粛しようと思うような若者がいるのだろうか?もし冗談でやっている政策ならただお金の無駄使いであるが、有効な政策だと本気で思っているとしたら、心配だ。アベノマスクに勝るとも劣らない(?)政策ではないか。
同じ厚労省でも、LINEと組んだ調査は優れていた。まだ検査されていない感染者はどれくらいいるのか、毎日増加している感染者の数はどこまで増えるのか、といった疑問にある程度答えてくれるからだ。不安を解消することにはならないかも知れないし、結果を見てかえって不安に思う人もいるかも知れないが、暗い見通しでもまったく情報がないよりは良い。3月31日から4月1日に行われた第一回調査では、約8000万人のLINE利用者のうち約2400万人が回答し、2万7000人が、37.5度以上の熱が4日以上続いていると答えたという。発熱があってもコロナウイルスに感染していることは限らないこと(発熱がなくてもコロナウイルスに感染していないとも限らないが)、サンプルバイアスなどを考慮に入れても、現在判明している5,000人程度の感染者よりもはるかに多い感染者が全国に散らばっていることは明らかだろう。