持続化給付金

緊急事態宣言が今月末まで延長されることになった。新規感染者数が緩やかに減りつつあるとはいっても、いまだに200人を超えている状態だから延長はやむを得ないだろう。安倍首相が記者会見で指摘したように、一定の成果があらわれ始めているのかも知れないが、もう少しいまの感染防止策は続けざるを得ないと思う。

緊急事態宣言が1ヶ月延長されるということは、経済活動もまた抑制された状態が続くということだから、先日補正予算で決まった支援に加えて、第二次補正予算による新たな対処が必要だという声があがってくるのも当然である。しかし、少なくとも同じくらい重要なのは、すでに決まった現金給付や事業者への持続化給付金を迅速に届けることである。

記者会見で、安倍首相が持続化給付金は早ければ8月に支払われると言うのを聞いて耳を疑ったが、やはり読み間違いらしい。(5月)8日が正しい日付のようだ。1日か申請を受け付け始めたので、8日というのはそれほど遅くはないだろう。そこからもできるだけ速やかに給付金を届けなければならない。

オンライン給付申請のためのウェブサイトによると、給付の対象となるのは、①2019年以前から事業収入がありかつ今後も事業を継続する意思があり、②2020年1月以降に前年同月比で50%以上の収入減があったような中小事業者である。事業をやっていないような人、あるいは困ってもいない事業者に給付金を払ってしまうのは問題かも知れない。しかし、いまはスピードが何よりも重要だから、不正の防止は事前的に厳しいチェックをやるよりも、事後的に不正を暴いて給付金を(罰金付きで)返済させる方に力を入れた方が良いように思える。

もっと重要な論点は、事業を止めようと思っている事業者にも給付金を配るべきではないかということである。コロナ・ショックにより経済は不可逆的に変わる。「新しい生活様式」が定着すれば、人々の消費などの経済活動のパターンがかわるので、産業構造が変わるのは避けられない。その時の経済の柔軟性を確保するのが重要である。コロナ・ショックのために、廃業や転職を余儀なくされる事業者には、できるだけダメージが少ない形で調整が起こるように、支援するのが望ましいだろう。事業を継続しないと給付金がもらえないと考えて調整が遅れてしまうのは問題である。

また、いまの事業を継続しない事業者の中には、今の会社を清算しても他業種でまたやり直そうとする人たちもいるだろう。そうした人たちにも、事業を継続する人達同様の、あるいはそれにも増した支援が必要なはずだ。

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