コロナ感染症の拡大を防ぐために、そして必然的に起こっている経済の低迷から人々を守るために、赤字を拡大しても思い切った財政出動を行うことは正しい政策である。しかし、悪化した財政状態を(長い時間をかけても良いから)どのように解決するのかは検討しておく必要がある。特に日本の財政はそもそもその維持可能性が疑われていたのだからなおさらである。
第一次補正予算による国債発行額の増加は35兆円以上になる。消費税の総収入が昨年の10月の増税の後ようやく20兆円を超えたところであるから、その2年分近い増加である。もちろん、これは短期間に返す必要はないが、長期的にどう返済するかの明確なプランは必要になるだろう。
どのようにして歳入を増やし、歳出も全体的に減らしていくのかを、いままで以上に真剣に考える必要があるだろう。これまでは消費税増税だけに焦点が当てられてきたが、他の可能性も、年金制度改革以外でも考えなければならないだろう。いままであまり頼りにしてこなかった環境税の増税などは、それが気候変動に歯止めをかけるのにも役立つことから、とうぜん考えるべきだろう。格差の是正の観点などから提唱されている資産税や所得税の累進率の増加なども考えなければならないだろう。