コロナ感染症基本的対処方針

昨日(5月14日)39県で非常事態宣言が解除された。それに伴って政府の「基本的対処方針」も変更された。これまでの「基本的対処方針」はすべて、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針のページに掲載されている。これらを比べてみると興味深いことに気づく。

2月25日に最初に出された基本的対処方針は、10ページの文書だったが、今回の変更をふまえた最新版は34ページに増えている。今回は6回目の変更である。

今後、非常事態宣言が解除されて重要になってくるのは、経済活動の再開によってまたウイルスが蔓延するようになってオーバーシュートが危惧されるような状態を避けることである。そのためには、感染の状況をタイムリーに把握するサーベイランスの仕組みが重要になる。最初の基本的対処方針にすでにサーベイランスへの言及がある。その時点では、「国内での流行状況等を把握するためのサーベイランスの仕組みを整備する」とある。逆に言えば、コロナ・ショック以前は、そのようなサーベイランスの仕組みがなかった、あるいは不十分だったということであろう。

しかし、「仕組みの整備」は始まらなかったようである。一か月後になって、感染者が急増する事態になった頃の3月28日の変更でようやく「有効な サーベイランスの仕組みを構築する」という方針が付け加えられる。そして、最新版で初めて「患者等に関する情報を関係者で迅速に共有するための情報把握・管理支援システム(Health Center Real-time Information-sharing System on COVID19. HER-SYS)を早急に全国展開する。また、本システムを活用し、都道府県別の陽性者数やPCR等検査の実施状況などの統計データの収集・分析を行い、より効果的・効率的な対策に活用していく。」という記述があって、やっと仕組みができたらしいということがわかる。全国展開はこれから、ということだが、これも時間がかかるのではないかと恐れるのは、ぼくだけではないだろう。

「情報を関係者で迅速に共有する」仕組みも重要ではある(今までの仕組みが迅速とは言えなかったので)が、そもそも情報を集める仕組みの弱さも指摘されてきた。検査体制が整っていないということである。たとえば、PCR検査は一日2万件可能になることを目指しているといっているが、これでも他の国々に比べると少ないし、実際の件数は一万件を超えた日はまだないようである。これも以前から指摘されていることではあるが、経済活動を本格的に再開するためには、感染状況を発見する検査の拡充が不可欠であろう。

ただ闇雲に検査をやるのは効率的でないので、感染者との接触があった人達を速やかに特定して、検査をするというのが望ましい。これは、現状では保健所などが追跡調査を行っているのであろうが、すでにそれでは追い付かない状態になっており、たとえHER-SYSというシステムが全国展開されて保健所の事務負担が若干減ったとしても、いままでのような追跡調査では追い付かないと思われる。そうすると、スマートフォンなどを使ったトラッキングシステムが作られるのが望ましい。現在では、中心的に位置情報を集めることなく、プライバシーに配慮しながら、感染者と接触した人に検査を受けるように連絡するシステムなどがいろいろな所で開発されている。

「基本的対処方針」でも今月に入ってから、「まん延防止にあたっては、導入が検討されている接触確認 アプリや SNS等の技術を活用して、施設利用者に係る感染状況等の把握を行うことも有効であることを周知する。」という方針が付け加えられ、最新版では「政府は、個人情報の保護及びプライバシーに十分配慮しながら、スマートフォン開発会社が開発しているアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を活用した接触確認アプリについて、接触率の低減及び感染の拡大防止に寄与すること等の国民理解を得つつ、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)及び保健所等と連携することにより、より効果的なクラスター対策につなげていく。」と踏み込んでいる。実行を急いでほしいところである。

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