昨日見た「骨太方針に向けて」と題する経済財政諮問会議の民間議員によるレポートに、次のような一節がある。
「テレワークが進む中で、男性の在宅時間は長くなり、家事・子育てを分担しやすい環境に変化しており、新たな働き方やワーク・ライフ・バランスが現れ始めている。」
確かにコロナショックは、在宅勤務などを増やすことによって、働き方改革の最大の追い風になったと思う。しかし、男性の在宅時間が長くなることと、家事・子育てを分担するようになることは直接は結び付かない。もしかしたら、在宅勤務で在宅時間でも仕事の時間が長くなって、家事・子育てが以前よりも難しくなる場合だって考えられる。学校が休校になって子供が家にいるようになっただけでなく、夫も家にいるようになって、家事の負担はかえって増えた、というのもよく聞く話である。いま、実際にどうなっているのかについてのデータを収集して、分析し、それを政策に反映していくのが必要だろう。
コロナの以前まで、いわゆるウーマノミクスの成果もあってか、女性の就業者は大幅に増えた。ここ数年で300万人くらい増えたと記憶している。しかし、「労働力調査」の4月分の数字によると、前年4月にくらべて雇用が80万人減ったうち、53万人が女性だった。男性で雇用を失った人数の2倍である。アベノミクスで少なくとも数の上では進んだ女性の進出が逆戻りしている可能性もある。