【2020年8月18日】
昨日、第2四半期のGDPの速報値が発表された。前期比でマイナス7.8%、年率換算するとマイナス27.8%と、戦後最悪の数字になった。どのニュースもいかに経済状態が悪化したかということを強調したが、欧米の他の国に比べると日本のGDP下落率はそれほど大きくない。これは昨晩の日経プラス10に出演した時も指摘したが、-27.8%という数字は、イギリス(-59.8%)、フランス(-44.8%)、ドイツ(-34.7%)、アメリカ(-32.9%)などと比べれば、それほどひどくはない。世界的に戦後最悪の感染症におそわれて、人命を守るためには経済活動の縮小が不可避だったことを考えると、-27.8%という数字は悲観すべき数字ではないと思う。他の国のように都市封鎖などをやらなくて済んだので、経済への悪影響も少なかったと考えて良いのではないか。
むしろ、恐れるべきは経済活動の制限を解くのが早すぎた可能性である。これは、すでにアメリカでは起こっていることであるが、経済活動の制限を早く解除した州では、第2波の感染が爆発的に増えている。日本でも第2波が広がっている。心配である。
多くのニュースは、第2四半期の成長率がマイナスになったと同時に、第3四半期には回復が予想されていると報じた。もちろん感染の第2波が深刻になれば話は別であるが。たとえば、日経センターの予測を使うと、実質GDPの成長率について次のようなグラフを描くことができる。

第2四半期の-7.8%から一転して、第3四半期は3.2%の成長が見込まれている。しかし、これは成長率の好転であって、経済状態の回復を意味するものではない。このことは、同じ日経センターの予測を使って、実質GDPのレベルがどのように推移すると予想されるかをグラフにするとわかる。次のグラフである。

これからわかるように、実質GDPは、2022年になっても2019年末のレベルを回復できない、と予想されているのである。この意味で、コロナ・ショックの影響は当分経済に悪影響を及ぼし続けそうである。