グリーン社会の実現のための政策

2020年10月27日

スガノミクスの中心の一つが、「グリーン社会の実現」のための政策になるようだ。その政策の中身はほとんどが、再生エネルギーの開発、蓄電池、CO2回収のためなどの新技術の発展を促進するものになりそうなことが、今日の日経の記事からも明らかである。イノベーションは必要かもしれないが、それに頼るだけでは2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにするのは難しいだろう。企業や家計の行動変化をもたらすような経済インセンティブを、税制でも作っていくことが大切だと思われる。

日本でも炭素税(地球温暖化対策のための税)が2012年から段階的に導入されたが、2016年の最終段階をもっても、CO2排出1トン当たり289円であり、国際的には低い水準にある。たとえばOECDでは、定期的に各国の炭素税を比較して、Effective Carbon Pricing Gap (実行炭素価格ギャップとでも訳すのだろうか)を計算しているが、日本の最新の数字(2015年のもののようだが)は、69であり、中国の90やアメリカの75よりはまだましなものの、ドイツの53、イギリスの42、フランスの41に比べると遅れている。ちなみに韓国は43であるから、日本よりも進んでいる。

ギャップが大きいということは、炭素価格をもっと上げる余裕があるということである。スガノミクスの道具の一つとして炭素税の充実を考えない手はないだろう。しかも、炭素税の増税は、環境対策になるだけではなく、政府の財政の助けにもなる。いわゆるDouble Dividend(二重の配当とでもいうのだろうか)である。

折りしもOECDがコロナ後の経済復興対策として、環境対策を重視しようという提案を発表したところである。Green budgeting and tax policy tools to support a green recovery と題するレポートは、スガノミクスにもたいへん参考になるだろう。

グリーン社会の実現のための政策」への1件のフィードバック

  1. アベノミクスの第一、第二の矢である金融、財政政策で景気が下支えされた後、スガノミクスでは加えて、第三の矢として、日本が遅れているデジタル(IT)化と温暖化対策が大方の支持を得る柱になりうるように思えます。仰る通り、うまくインセンティブを付ければ、投資が喚起され、生産性向上にも寄与するのではないでしょうか。

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