2021年5月14日
昨日のぼくの論考に引き続き、日経の経済教室は、今日も経済の新陳代謝について。成城大学の後藤康雄教授の「中小企業の一律保護見直せ」は、中小企業を規模が小さいということだけで一律に保護してしまう政策が結局は中小企業の業績を低くする結果になっていると論じている。昨日の経済教室で論じたような企業への緊急時の支援ということだけではなく、特に中小企業が一律に保護され続ける理由として3つのものが挙げられている。
一つは、歴史的に中小企業が大企業と比べて、弱く保護が必要なものだと認識されてきたこと。二つ目は、中小企業には個人事業主の零細企業が多く、経営と生活が分離していないために、生活を守る社会政策として中小企業保護が行われること。そして、最後に中小企業支援という弱者保護は政治的に支持されやすいということ。
どれも的確な指摘だと思う。繰り返しになるが、社会政策は直接、経済活動を歪めない形で、行うことができる。(ゾンビ)企業を守らずに、個人を守ることができるのである。弱者保護というのも、企業と人間を混同してしまった議論である。企業は人ではない。人間の弱者は守らなければならない。弱い企業は、強くなるような動機を与えるか、あるいはそこから人間を解放しなければならない。
昨日の経済教室では、ぼくが同僚の川口大司教授と植田健一教授と書いたDiscussion Paperが引用してある。日経の記事ではリンクが張れないので、ここにリンクを作っておく。また、もう一つ引用してある「バランスシート問題研究会提言2」は、キャノングローバル戦略研究所のウェブサイトのここにある。