特別措置法と感染症法改正案の修正

2021年1月28日

今国会に出されている感染症法と新型コロナ対応の特別措置法の改正法案について、自民党と立憲民主党が修正に合意したという。焦点になっていたのは、入院勧告を拒否する人や保健所の調査を拒否した人への罰則、それに緊急事態宣言中に営業時間の短縮要請などに従わない事業者に対する罰則である。

感染症法改正について、もともとの政府案では、入院勧告を拒否した感染者については「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」、保健所の調査を拒否した人については「50万円以下の罰金」としていた。入院勧告拒否者に対しては、懲役を削除し、罰金は50万円以下、保健所調査の拒否者には30万円以下の過料にする、というのが修正案のようだ。

特別措置法については、もともとの政府案では、緊急事態宣言下で事業者が時短や休業要請に従わない場合は、50万円以下だったがこれを30万円以下の過料にする。まん延防止等重点措置の地域で都道府県知事が飲食店などに時短や休業を命令しても従わなかった場合の過料は政府案の30万円以下から20万円以下に下げたと報道されている。

以前、このブログでも考えたが、罰金や過料と協力金は符号が違うだけで経済的には同じ効果を持つし、要請に従わない飲食店には平均以上に困っているところが多いのだろうから、罰金を科すのではなく、協力金を増やす方が効果的で公平だろう。その意味で今回の修正は評価できると思う。

入院勧告を拒否した人についても、入院できないと考える深刻な経済的理由などがあるのだとすれば、そもそも感染症を蔓延させないように入院するということで社会的に貢献しているのだから、罰則でしばらずに協力金を払って入院してもらう、という考え方の方が公平だと言えるかもしれない。刑事罰を削除して、過料も減額したのは評価できると思う。

飲食店や感染者それぞれについて様々な事情があるから、そもそも同じ金額の協力金を払うのは効率的とは言えない。効率性まで考えると、排出権を設定して、それを取引可能にすることによって、温暖化効果ガスをコントロールする政策と同じように、緊急事態宣言下でも営業できる権利とか入院勧告を拒否できる権利とかを設定して、それを(たぶん所得のもともと低かった人たちに優先して)配布して、しかも取引できる市場を整備する、というような仕組みが理想的なのだろう。

今回の修正で、休業要請に従わない時のコストは(政府案に比べて)減ることになるから、休業要請の実効性は若干損なわれることになる。それを相殺して、政府案がねらったのと同じくらいの実効性を確保するためには、協力金を(少なくとも20万円以上)増やすことが必要になる。そのために、来年の予算案を修正するというのは、よい方法ではないだろうか。GoTo事業などを削減すれば、十分捻出できる程度の金額だろう。本当は第3次補正予算案で、GoTo事業費を削減すべきだったと思われるが、その予算案はどうも今晩参議院で可決される見通しである。

特別措置法と感染症法改正案の修正」に2件のコメントがあります

  1. go to の一方で、不要不急の外出を避けよ、と言うのは、どう考えても、ブレーキとアクセルを同時に踏んでいます。旅行業界に支援が必要なら、直接的支援など、感染を増やさない方法とすべきでは。旅行に行ったと思って、そのための税金払うことには、理解得られるように思います。

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